ピアノを教えていてつくづく思うのが、生徒さんみんな「手を見て確認している」こと。

  1. 楽譜を見て弾くべき音符を認識したら、
  2. その音は鍵盤のどこなのかを視覚的に確認して鍵盤を押し、
  3. 聞こえてきた音が正しいとわかったら、
  4. また視線を楽譜に戻し、
  5. どこを見ていたかをまた視覚的に探す。

という作業を繰り返している方が多い。大人も、子供も。

中には、手に視線を持って行って楽譜に視線を戻すときに「あれ、どこだったっけ?」なんていうことも。

楽譜を読むって、とっても大変なことです。脳内のプロセスを分析してみると、

  1. 楽譜上の音符を認識
  2. その音を鍵盤上のどこなのかを認識
  3. 手に動作を命令
  4. 音で結果を確認

といったところでしょうか。この過程で、多くの人は3と4の間に「視覚的に鍵盤の位置と押す指が一致しているかを確認」というプロセスが加わっているようです。

「目隠ししてもピアノは弾けるよ」の実践

しかしそこで一度立ち止まってみると、目で見なくても指先で目的の鍵盤を探すことは可能なのではないでしょうか?「指先で目的の音を探してごらん」というとけっこうできるものなのです。

音楽教室の役目の一つに「楽器を自在に使いこなす」ための指導を一つの目標に掲げています。与えられた課題曲を弾きこなすためには、前提として鍵盤に親しみ、目的の音を目をつぶってでも探して発音させる。それが「楽器を使いこなす」ことだと考えています。

しかし前述のとおり多くの方は視覚に頼って鍵盤と指の位置関係を確認する傾向にあります。それをあえて手を見させずともピアノは弾けるんだということを体験してもらうのですが、これを実感してもらうのは容易ではありません。

苦労するけれども、やりきったときの生徒さんの表情はとても印象的です。この経験を繰り返し、自信につなげていくんだということを感じています。

視覚について、世間では目に見えるものほど信用できるという風潮があるように感じます。一億総カメラマン社会などと揶揄されますが、スマートフォンのカメラ、ドライブレコーダー、街中の監視カメラなど、とにかく映像での記録こそがもっとも信用できるとされ、事実社会でもとても役立っています。役に立つのは「記録」の話で、実は人間の視覚とは脳科学的には意外に信用ならないものなのだともいわれています。それを証明している動画をご紹介します。

以下の動画の前半約50秒は、刑事さんが犯人をつきとめるワンシーンです。この間に何が起こっているか注意深く見てください。そして動画の後半で種明かしがされます。

いかがでしたか?驚いたのではないでしょうか?

これをピアノを弾くというプロセスに置き換えると、目に飛び込んできた音符をしっかり認知して楽器の目的の音に指を持っていくことが、技術的に困難というより、人間の脳内の処理としてそれなりの労力を要していることがわかるかと思います。

確実にいえることは、これは選ばれた優秀な人材にだけできることなのはないということです。読譜は習慣であり特殊な能力を要するものではないということは多くの音楽の先生の間でも認められています。

なので、この脳内での処理作業をいかに楽しませるかが音楽教室の役割なのだといろいろ試行錯誤しています。

紙に記録された音楽の情報を、視覚的にとらえて脳内で「どう楽器を操作するのか」を判断して行動に移し、その結果は聴覚で判断するという、人間の行動では他に類を見ない情報処理と身体への動作伝達は相当高度な作業だと感じています。なので楽器の演奏はものすごい「脳トレ」になるのです。とても苦しい作業になるかもしれない。でも慣れたらこんなにGIFTEDな特技も珍しいと思っています。

楽器をとおしての脳内開発、研究中です!

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