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レッスンでしていること - 2022年1月26日

「できない」「わからない」って本当?

未就学児のお子さんに時折ある反応に「わからない」や「できない」、「難しい」があります。最初はその単語をどう覚えたのがが不思議でした。よくよく観察していると、その発言の意図が少しずつわかってきました。

脳は楽をしたいのが自然

動物の脳は、基本は楽することを優先するようにできているそうです。それは自分の生命が脅かされるときのために体力を温存するためで、お腹が空いたとき、眠いとき、災害や敵襲などの危険が迫ったときは自分を守るために全力を尽くします。

ピアノの練習などは、できたところでお腹が満たされるわけでもないし、睡眠のように体力が回復するどころか労力を費やすばかりで脳に負荷がかかるから、よほど強い願望でもない限り面倒くさい作業以外の何者でもないのです。

そう考えると、音符を読んでみよう、5本の指で鍵盤を操作しようと促したときに、小さい子が「わからない」と反応するのは、脳にかかってくる意味不明な負荷に対して拒否反応を示していることがわかります。

ある生徒さんのお話

ある生徒さんが「わからない」「できない」といいました。こちらの問いに対して即答するときはほぼ拒否反応です。

お子さんは責められるべきではないし、でもここは避けられない通過点だし…、と迷ったときに、ふと「これができたらいいことあるよ」と言ったら「え?本当!?」と頑張ってくれました。ご褒美を用意してたわけではないので迷いましたが「ほら、できたでしょう?いいこことあったね(^^)」と強引に持っていったら意外にも納得してくれました。騙したようで後ろめたさもありましたが「できた」という実績はなかなかの達成感につながり自信につながる一例です。特に小さなお子さんの場合はところもあるので、なんとか誘い出してみると「なあんだ、こんなもんか」というような反応を見せてくれることもよくあります。

最も強力な処方箋

とはいえこれは大人が外から誘導した結果なので、本来は本人の内側から求めて動いてもらうのが最も効果的です。恐らく最も確かなのは、ピアノの音楽と演奏に感動することであり、自分もできるようになりたいという願望を持ってもらうことです。日常的にピアノ音楽を聴いていたり、なにか強烈な印象に残る演奏や映像に触れるなどして「あんなふうに弾いてみたい」という憧れを持ってくれたら、簡単に成功できなくても憧れが心の支えになってくれるのでは、と考えています。

三日坊主とはいいますが、それはごく自然なことです。教える側としては、練習してこなかったことを責めるのではなく、練習したい気持ちにさせてあげることを目指しています。目の前に現れた難関をどう突破しようかという気概を持ってもらえたら、精神的な自立に向けて進み始めているといえるでしょう。

まだまだ未熟ですが、少しでも可能性があるのであればチャレンジして、みなさんのピアノの上達に役立てるよう努力していきたいと思います。

体験レッスン、見学、随時受付しています。

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