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考察:音楽・教育 - 2020年7月22日

主導権は誰に?

生徒さんが自宅で聞きながら遊べるよう作った動画です。

クラシックとジャズ

先日ブルースの話題を取り上げてから、もう少し掘り下げてみようと生徒ちゃんたちとブルースで遊んでいます。 遊んでいるといって、もちろんピアノレッスンですので成果が出なければいけないので、

  1. 12小節を正しく覚え、コードの変化についていける。
  2. 1小節4拍をしっかり感じてテンポに合わせられる。
  3. リズムパターンを作り、自分のペースでアレンジしていく(アドリブ)。
  4. まずはベースから始め、3度、5度、7度と音を増やしていく。

などを目標にあげています。 大人の生徒さんとも話になったのですが、ジャズを演奏するにあたって苦労するのは「選択肢がある」ために迷いが生じてしまうことです。クラシックの場合は最初から最後まで用意されたシナリオに沿って進行していくのに対し、ジャズはある程度の抽象的なガイドラインに基づいて演奏する音楽なので、考え方がまるで違います(記事「クラシックとジャズのピアニストでは脳の働きが違う」で外国の研究結果について紹介しています)。

子どもは基本的に主体的に動くので、強制されるより自由がある方を好みます。ブルースで遊んでいる子供たちを見ていると、ゲームを楽しむように演奏に取り組んでいる様にも見えます。

こういってしまうと、あたかもジャズやブルースの方が楽しい音楽といっている様に思われてしまいますが、そうではありません。作曲家の坂本龍一さんはジャズを「アマチュアの音楽」と村上龍さんとの対談で発言していた(はっきりと覚えていないのですがこちらの本だと思います)ことがありました。ジャズファンの私としては複雑な思いもありましたが、外れていないとも思いました。やはり大作曲家が練りに練って作り上げた作品は、その場のアイディア一つで出てくるフレーズとは重みが違うし、得られる感動も言葉に尽くせません。

しかしこれは子供のピアノレッスンで、その果てしない音楽の世界への入り口なので、とっかかりとしてはいいかな、と考えています。

権限を与えて当事者意識を持たせる

YouTubeの他の動画などでも時折取り上げている、千代田区立麹町中学校の元校長の工藤勇一さんの著書「学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―」で、制服を新しいデザインにすることになったとき、PTAに権限を渡すことで当事者意識をもってもらった、というエピソードがありました。

ピアノレッスンはまた全く違う分野ではありますが、一音一音を指示しているクラシック音楽にはない「自分で決めていい」という主導権は子供にとっては魅力あるものなのかもしれません。結構工夫していろいろやるし、ミスなどのハプニングでさえ音楽の要素になっていきますから、これはこれで楽しめるのです。

現在小学生を中心にブルースをやっていて、「みんなが上手になったらセッションやるよ」と話していますが、結構みんな目を光らせてました。生徒さん同士で交流できる日が来るのが楽しみです。

体験レッスン、見学、随時受付しています。

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