【ジャズを知るメリット】クラシックの凄さが分かり、ロック・ポップスへの理解が深まる!すべての音楽学習者にジャズをおすすめする理由
この記事はYouTubeに投稿した動画を文字起こししたものです。
今回は「ジャズをやろうぜ!」というテーマでお話ししていきたいと思います。
ここ数か月、私が運営するピアノ修理工房(南国ピアノ)で「ジャズ練習会」を開催しています。元々は1人で練習するのも寂しいからピアニストさんに付き合ってもらおうと始めた企画だったのですが、参加者を募ってみると10人ほどが集まり、みんなで音を合わせて楽しむ素敵な場になりました。
その練習会を通して、参加者の皆さんの演奏や変化を見ていて「やっぱりジャズを知るのって、すべての音楽学習者にとってすごくおすすめだな」と強く実感したのです。
「ジャズだけをやろう!」と言いたいわけではありません。むしろジャズを知れば知るほど、クラシック音楽の凄さや奥深さが身に染みて分かりますし、ロックやポップスの理解も劇的に深まります。
今回は、ジャズを知るメリットについて3つのポイントに分けて分かりやすく解説していきます!
1. 形式がシンプルで「入り口」に入りやすい
「ジャズ=アドリブ=難しそう、間違えたら怖い」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
しかし実は、ジャズで最初に与えられる楽譜(リードシート)や音楽構造は驚くほどシンプルです。
32小節程度のシンプルなフォーム(AABAなど)
ジャズの多くの曲は、32小節前後の「AABA」や「ABAC」といった決まったコード進行やメロディ形式で構成されています。この基本となるテーマ(メロディとコード)さえ押さえておけば、あとはその進行を何度も繰り返し循環させながら演奏していきます。
クラシックの名曲のように「何ページにもわたる楽譜の音符を1音ずつ正確に追いかけて練習する」プロセスに比べると、ジャズの構造的アプローチは非常にシンプルで、初心者でもセッションに「参加するだけ」ならすぐに入れる魅力があります。
日本人にも馴染み深い「AABAフォーム」の例
「AABAフォーム」とは、メインのメロディ(A)を2回繰り返し、変化をつけるブリッジ(B)を挟み、最後にもう一度メインメロディ(A)に戻る形式です。実は私たちがよく知る楽曲にもたくさん使われています。
- 『荒城の月』(滝廉太郎):A(4小節)→ A(4小節)→ B(4小節)→ A(4小節)
- 『アメイジング・グレイス』
- 『上を向いて歩こう』『見あげてごらん夜の星を』(坂本九)
J-POPのような現代のポップスは「Aメロ → Bメロ → サビ → 間奏 → Aメロ…」のように曲の構成が複雑で、バンド演奏をする際はしっかり合わせる練習が必要です。しかしジャズの場合、定番のコードブック(通称「黒本」など)1ページがあれば、初対面のミュージシャン同士でも「せーの」でいきなりセッションができてしまうのです。
2. 制限が少なく「自由」である
2つ目のメリットは「表現の自由度が高いこと」です。
ジャズは、コード(コード進行)・テンポ・拍子という最低限のフレームワーク(核)さえ共有していれば、あとは基本的に自由です。
クラシックとのアプローチの違い
現代のクラシック音楽では、楽譜に書かれた1音1音の精度やダイナミクス(強弱)、解釈が非常に厳密に求められます。一方ジャズは、「自分だったらこのメロディをこう崩す」「ここでこんなアドリブを入れる」という個性の発揮が認められています。
例えるなら、お笑い芸人の狩野英孝さんアレンジのような「俺だったらこう歌う・こう弾く!」という姿勢そのものがジャズの精神です。
アメリカ社会の縮図としてのジャズ
ジャズは多様な文化的背景を持つ人々が集まったアメリカで生まれた音楽です。「お互いの宗教や考え方は違っても、憲法(ルール)だけは守って一緒にやっていこう」という社会形成とよく似ています。最低限の約束事のうえで個性を尊重し合う、まさに自由を象徴する音楽なのです。
3. 音楽以外にも役立つ「メンタル」が鍛えられる
3つ目のメリットは、「自分の主張をするメンタルが強くなる」という点です。
アドリブを弾くということは、「間違えたらどうしよう」「迷惑をかけたらどうしよう」という不安を乗り越えて、「私はこう演奏したい!」と一歩踏み出す行為です。これは日常の会議で自分の意見を言ったり、人前で発言したりする際のメンタルトレーニングにも直結します。
ピアニスト・佐山雅弘さんの「プロの条件」
昔、ジャズピアニストの佐山雅弘さんのライブで心に残ったお話があります。佐山さんは観客にこう問いかけました。
「プロのミュージシャンって、一体何をもってプロだと思いますか?……プロっていうのはね、間違えても『間違えた』って顔をしないのがプロなんです」
会場は大爆笑でしたが、これはまさに本質を突いています。演奏中に「あ、やばい!」と顔を歪めると、聴き手にもミスが伝わってしまいます。しかし堂々とドヤ顔で弾ききってしまえば、聴き手はミスに気づかず「素晴らしい演奏だった!」と感じるものです。
ジャズを通じて「堂々と自分を表現する」「知らん顔をして楽しむ」度胸を身につけることができます。
ジャズを知ると「クラシックの凄さ」が改めて見えてくる
「ジャズが一番優れている」と言いたいわけではありません。実は、ジャズを知れば知るほど、起源であるクラシック音楽の偉大さに気づかされます。
和音(コード)の音数の違い
- ジャズ:1つの和音に7音など、たくさんの音を複雑に重ねて豊かな響きを作ります。
- クラシック(モーツァルトなど):基本的に3音〜4音というごく限られた音数(三和音メイン)で構成されています。
少ない音数だけであれほど豊かで多彩な名曲を生み出し続けたモーツァルトやクラシックの大作曲家たちのアイデア量は、ジャズの複雑なテンションコードを知った後だと「とんでもなく天才的だったんだ…!」と肌で理解できるようになります。
角野隼斗(かてぃん)さんやキース・ジャレットのように、クラシックを極めた演奏家がジャズを弾くと圧倒的な表現力を見せるのも、クラシックという強固な土台があるからです。
まとめ:ジャズはすべての音楽学習者を助けてくれる!
ロックやポップス、J-POPを演奏している方にとっても、現代ポピュラー音楽のルーツであるジャズを学ぶことは、コード理論やリズム表現の面で大きなプラスになります。
- シンプルな構造(フォーム)を理解できる
- 自由な表現力が身につく
- 間違えても折れないメンタルが鍛えられる
- クラシックや他ジャンルの凄さが再発見できる
ジャズは、すべての音楽学習者の演奏表現を広げてくれる最高の「アシスト」になります。知識として知っておいて損はありません!
南国ピアノ「ジャズ練習会」に遊びにきませんか?
私が運営している南国ピアノでは、初心者の方でも安心して参加できる「ジャズ練習会」を開催しています。「間違えてもOK!どうぞ間違えてください!」というあたたかいスタンスでやっていますので、セッションに興味がある方はぜひ気軽に遊びに来てくださいね。
眠っているピアノや楽器に再び命を吹き込み、みんなで音楽を楽しみましょう!
