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レッスンでしていること - 2022年7月26日

合唱曲伴奏をコード弾き〜スケール練習が役に立った例

伴奏をたのまれた!

小学生の生徒さんが、合唱曲の伴奏をするんだと楽譜を持ち込んできました。しかしこの子にこの音符全てを読ませていては間に合いそうにない…。ということで「楽譜のとおり弾かなくていいか、学校の先生に聞いてきて」とお願いしたところ、アレンジOKとの回答がありました。

じゃあとっかかりやすいようにコード弾きにしようということで、楽譜にコード記号を書き込んでいって、三和音を教えて右手で和音、左手はベースを弾いてもらいました。三和音とは「ドミソ」のようにレとファをとばして三つの音で構成する和音です。この曲はキーがへ長調で始まり変ロ長調に移調する曲ですが、この生徒さんにはキーは問題ではありませんでした。

役に立った音階練習

私の生徒さんは学年に関係なく皆さん音階(スケール)を覚えてもらいます。12のメジャースケールを覚えることは、算数で例えるなら掛け算九九を全て暗唱することです。「サブロク」と言われて反射的に18と答えられることが2桁や3桁の掛け算をこなす助けになります。音階を学ぶことはこれに似ていて、キーを熟知していることで自然に白鍵と黒鍵を使い分けられるようになるのです。

この生徒さんはキーがわかっているから、楽譜を読むのが苦手でもシはフラットであることに即座に対応できました。曲の最後で変ロ長調に変わったら、今度はミもフラットになることに対応できました。何度も何度も音階の練習を反復してきた産物です。

写真では見づらいかもしれませんが、カードで使える範囲を仕切っています。

コードの反転もOK

三和音に慣れてきたら、今度は伴奏としての質を上げるためにハーモニーの安定を目指します。それにはドミソのような三和音を平行移動させるだけではなく、反転を活用し鍵盤上の移動を小さくすることです。そのために写真のようにカードで鍵盤を仕切って「この範囲内だけで弾くように」と限定します。この生徒さんは音階練習を2オクターブでやっていたから視野が広がっていて反転にもすぐに対応できました。

実用的な音楽の基礎

ピアノは子供用サイズの鍵盤がないからか、白鍵から入って黒鍵を使うのはある程度上達してから、という傾向にあるようですが、私の娘が初めてバイオリンを習ったとき最初がイ長調というピアノでいうところの黒鍵を三つ使うキーから始まることがカルチャーショックでした。そして早い段階でハ長調、ニ長調、へ長調など色んなキーを扱うので、「基本はハ長調」というのはピアノだけなのかもしれない、とピアノでの音楽教育に疑問を感じるようになりました。そして自分の生徒さんたちにも音階を教えていったら、速い子は幼稚園児でも12のキーを弾けるようになるので、出来るだけ最初に経験させた方がいいと実践するようになりました。

スケールに関するレッスンの例はこのサイト内やYouTubeにいくつか紹介していますのでご覧ください。

上達の鍵は何よりも動機

生徒さんが「家でピアノに向かう時間が増えた」とお母様も温かく見守ってくださっていますが、こうした前進は伴奏をやろうと決めた本人の動機です。やりたいという願望が大きくなればピアノの練習は苦ではありません。楽譜を読めるに越したことはありませんが、苦手でも音階の練習で鍵盤に慣れ親しんでいればいろいろ出来ることが広がっていきます。

生徒さんたちと共有したい目標は「鼻歌を歌うようにピアノを弾けるようになる」ことです。例えば、幼稚園や保育園の先生が子供たちと歌うピアノの伴奏くらいなら誰でも出来るようになると思います。問題はそこに行き着くためのプロセスで、楽譜を読むことは一つの手段でありMUSTではありません。もちろん楽譜を読めた方が良いのですが、苦手だからと言ってピアノ自体が難しいという結論には至らないよう、たくさんの方法を模索していきたいと思っています。

体験レッスン、見学、随時受付しています。

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