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考察:音楽・教育 - 2022年8月16日

子供のメンタルを鍛えるちょっとした会話

これはピアノレッスンやピアノの仕事をしていて経験してきたことから得た個人的なお話ですが、読んでみて「あ!」と思うことがありましたら実践してみてください。

過去に「優秀なスタッフの条件」という記事を書いたことがありました。上司に伺いを立てるときは6W1H、いわゆるWhat、When、Where、Who、Why、Whom、Howなど「何」の回答を求める質問ではなく、ある程度選択肢を絞り「午前で終わらせますか?」「この書類の届け先は2階の部署で正しいですか?」などYes/Noの回答で済むようにすると上司の手間が省ける、というもので、私がアルバイト時代に教わったコミュニケーションの方法でした。

小さい子供は相手がどう思うかなどお構いなしなので「なんで?」「どこ?」「いつ?」「だれ?」など、さながら間寛平さんのギャグのような質問攻めになります。

実際、私がピアノの調律師として保育園などで作業をしていると、開けられたピアノが珍しいのか、何人もの子供が「おじさん、なにしてるの~?」と聞いてきます。以前は「ピアノの音をきれいにしてるんだよ」と答えていたのですが、上記の記事を書いた後に思いついて、そのような質問を受けたら逆に「何してると思う?」と聞き返すようにしました。

子供にしてみれば「わかんないから聞いてるんじゃん」と思うような意地悪な返しかもしれませんが、これが子供に「わからないことを考える」機会を持たせることになります。多くの子は無言で離れていくか「わかんない」と答えます。「わからない」といわれても「何してるのかな~?」と答えは教えてあげません。

中には「ピアノを直しているの?」と聞いてくる子がいます。こういう子は冒頭の「優秀なスタッフの条件」をクリアしている子です。

「考える」とは

私は「考える」という言葉はいささか抽象的で多くの場面では適切な言葉だと思いません。たまに「考えなさい!」と叱る大人を見ますが、これは子供に丸投げする無責任な指導方法だと思います。

「考える」をもう少しかみくだくと「わからないことに対して答えを導き出せるよう情報を収集して、そこから想像を膨らませ仮説を導き出す」というのはいかがでしょうか。ちなみに、広辞苑で調べるとリンク先のような定義がされていますが、まだ抽象的に思います。一口に考えるといいますが、答えを出すまでにいくつかのステップがあるのです。

実践してみよう

例えば、子供が「今日の晩御飯は何?」と聞いてきたとしましょう。その日のメニューをそのまま答えてしまえばそこまでですが、逆に「何だと思う?」と聞いてみてはいかがでしょう?お料理の途中でしたら、キッチンに並んだ食材などから推理してもらうことができます(もちろん火をかけていたりしてそれどころではないかもしれませんが・・・)。または逆に子供に「何食べたい?」と聞きたいときは「今日は冷蔵庫に鶏肉、人参、玉ねぎ、玉子があります、さあ何ができる!?」と投げかけてみるのも良いかもしれません。ヒントを見せてあげて、そこから想像を膨らませるのです。ただ、もし「豚汁」の予定で食材を並べていたのに子供が「カレーライス!」と答えたときは、それを正解とするか不正解とするのかは今度は大人が考える番になりますが・・・。どうします?

教えないのも大切

わからないことがあるときに容易に答えを与えるのではなく、逆に問うことで相手は視界に入るものから情報を集め何なのか想像を膨らませることができます。逆に常に答えを与えてしまうと自分で導き出そうとせず答えを待つ受け身の習慣がついてしまうように思います。

ピアノレッスンで音符を読む際には、横に「ドレミファソ」と並べて「わからなかったら、あの中から探してみよう」とヒントをあげます。自発的に動く子だと黙々と音符を探して押していき、求めていたメロディだと認識すると面白いように進めていきます。自分で読めることがわかると、そのうち自分で楽譜を探して弾くようになります。そうなればもうピアノ教室は卒業でいいと思います。細かい表現や演奏の仕上がり具合もありますが、それを自ら検証していくのも「考える力」を養うことになるので、何から何まで指導する必要はないのです。

タイトルについて

この記事のタイトルを「子供のメンタル」としました。ピアノレッスンをしていると、開始から30分弾き続ける子、途中で疲れてしまう子など様々です。これを私は「心の持久力」としています。つまり30分間考え続けることができるかの持久力です。個人差があるので何歳で30分持続しなければならないのかは定義できませんが、少しずつ伸ばしていく必要があるのはどの年齢も同じです。メンタルとしたのは、子供にとってわからない何かが降りかかったときに「さてどうしようか、やってやろう」と立ち向かう気持ちです。楽器を演奏することとは、まさに「できないことをどうできるようにするか」というマインドを鍛えてくれます。でも楽器がなくてもご家庭のちょっとしたコミュニケーションでも実践できるのでは?と思い、上記のようにまとめてみました。どんどん「考えさせる」ことで考えることが習慣化していき心の持久力が伸び難題が舞い込んできたときに対応す出来るメンタルが鍛えられるのではと考えています(^^)。

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